ご案内

相談の内容も多彩で、契約不履行、業法違反、第三者検査の拒否、手付金返還の拒否、検査データの開示拒否、詳細見積りの未提出、契約強要よくもここまでと思いつく限りの悪知恵のオンパレードです。
こうした悪賢い業者は、どう頑張っても素人が太万打ちできる相手ではなく、切羽詰っての相談となるわけです。 家づくり援護会が進める需要者サポート活動は、対処法的に家づくりにともなうトラブルを未然に防ぐ手助けをする一方で、もっと積極的に、家づくりの仕組みとして家づくりから不正、不明瞭をなくしていくことを目標としています。
また、建築士に対する不満、不信も根強く、対業者との関係に限らず、対建築士との関係をサポートする活動も視野に入れています。 この章では、私たちが第三者的な立場から、家づくりのトラブルを防ぎ、仕組みとして家づくりの不公正、不明瞭を正す役割について具体的な提案をしていきたいと思います。

外国の人たちと仕事をする場合、彼らはまず最初に契約ありきで、その分、契約を遵守する気持ちも強く、契約違反に対する制裁も厳しいものがあります。 これに比較し、国際化が進み、契約社会を迎えた現代においても、日本人の契約に対する認識は非常にあいまいで、契約文書よりも取引先の人聞を信用してしまうといった傾向がまだまだ強いようです。
このような状態のままでは、家づくりに限らず、契約を軽視し大きな苦しみを背負い込む人は今後も後を絶たないでしょう。 現代の家づくりにおいて、施主と施工者の関係は契約を基本として確認され、両者の権利義務関係は契約以上でも契約以下でもないというのが現実です。
営業担当者や、会社の責任者の誠実そうな態度や、おいしい言葉を鵜呑みにして、契約書を熟読吟味せず署名捺印してしまい、後日トラブルの種になるというケースが大変多いのです。 契約の責任は双方五分ですから、甘言に乗せられ軽率にハンコを押した施主側の責任も問われてしかるべきという厳しい見方があることも事実です。
ずさんな契約によって引き起こされる典型的なトラブル事例について一、二紹介します。 「契約後、こちらに相談もなく契約時よりグレードアップしたという理由で契約に明記されていない箇所の金額を上げてきたのだが、断れば手抜き工事をされそうで怖い。
どうしたらよいか。 また、室内足場の設置費を追加で請求して来たが、こういう基本的なことは施工費に含むのが常識と思うのだが、間違っているだろうか」(東京世田谷区の男性)実際の工事費用が契約の金額をはるかにオーバーするという事例は非常に多く起こっています。
これは簡単な平面図、立面図をもとに細部の仕様を決めずに概略の積算で工事金額を仮に決め契約してしまうために起こるトラブルです。 契約当初二000万円だった工事費が実施設計を積算してみたら二七OO万円になってしまったというような事例は数多く報告されています。
安い工事費を提示して顧客の関心を引き、設計を具体化するにしたがって工事費を引き上げていくといった作戦は、一部施工業者の常套手段といってもいいほど、この手のトラブルは最近増えています。 この場合、きちんとした設計仕様の提示を求めず契約してしまった施主側の責任も大きく、契約破棄すれば違約金を取られることとなり、泣く泣く追加資金を調達して契約を継続せざるをえないという状況に追い込まれるケースが多いようです。
また、現在住んでいる賃貸アパートの契約期限や、社宅の立ち退き期限にあわせて施工請負契約を結んだのに、引き渡しは遅れ、挙句の果てに延滞金をもらえずに損害と精神的打撃をこうむったというパターンも多くあります。 私たちに寄せられた相談の中では、「妻の出産にあわせ引き渡しを受ける契約だったのに、竣工前の内覧で三Oカ所の補修箇所が出て、引き渡しは二カ月以上延びてしまった。
契約書には延滞料や、延滞時の損害賠償について明確にされていなかったのですが、当方の受けた損害は精神的にも大きく、どうすればよいか教えてください」(東京葛飾区の男性)というものがありました。 この場合の施工請負契約書には遅延に関する取り決めはなく、「絶対大丈夫」という営業マンの言葉を信じて契約を結んだということですが、まさに「後悔先に建たず」の典型例です。
施工請負契約書では施工金額と同時に施工期間を明示することになっていますが、竣工引き渡しに対する遅延事由や延滞した場合の罰則規定については、契約約款で触れることになっています。 しかし、契約約款を添付しない契約、あるいはきわめてずさんな契約約款による契約など、遅延理由の詳細や、延滞料について明示していないものも多く、竣工引き渡しが遅れても、遅延料や慰謝料を取るのはなかなか難しいのが実情です。

近年、住宅需要は減少傾向に入り、企業聞の生き残りをかけた競争の激しさは想像を絶するものがあります。 このような状況の中、企業聞の顧客獲得競争はエスカレートする一方で、無理な契約、無茶な工事が急増していて、家づくりにかかわる訴訟件数もうなぎのぼりに増えています。
先にも述べましたが、東京、大阪の両地裁には家づくりにかかわるトラブルを裁く専門セクションができ、訴訟件数の多さから裁判期間も二、三年と長期にわたるケースが多く、施主、施工者いずれにとっても悲劇的な状況です。 さらに、このような状況が表面化するにしたがって施主と施工者聞の不信感は深まり、些細なことが原因で訴訟に持ち込まれる傾向が強まるのではないかと不安視する人も多いようです。
現に、私たちのところへも、契約をめぐる相談事が持ち込まれています。 たとえば、「現在大手のハウスメーカーと契約交渉中なのですが、月末までに契約すれば値引きすると強引に契約を迫られ困っています。
まだ設計も決まっていない段階で、信用してまかせろといわれているのですが、不安で不安で眠れない日が続いています」(埼玉県の主婦)といった具合です。 なぜこのようなトラブルが起こるのでしょうか。
トラブルの起こった事例の施工請負契約書を見ると、これがきわめてずさんで、業者にばかり都合のいい契約内容になっていて、これではいざ裁判に持ち込んだとしても、施主にはまず勝ち目がありません。 なぜこんな契約をしたのかと訊いても、「業者を信用していたから」とか「担当営業マンがよさそうな人だったから」と、相手を信用し契約内容を吟味しないでハンコを押してしまったという言葉が返ってきます。
現在、住宅施工を行う場合、施主(甲)と施工業者(乙)の間で施工請負契約なるものを取り交わすことになっていますが、これは契約書と契約約款の二つからなっていて、契約書では施工内容、施工金額、竣工期日、支払い方法などが明記されています。 施工にかかわる約束事は約款に記載されていますが、この約款が業者によってまちまちで統一されたものがありません。
契約書の作成を当事者の一方である施工業者が行っているという点に不平等を感じる人も多いと思いますが、実際、各ハウスメーカーの約款を見ると企業側に都合のいい条文になっているのが普通です。 しかし、一般の人が自分で契約約款を作るということは至難の業で、また、専門の弁護士に依頼するとなると費用もかかり、結局、施工業者の差し出す契約書によっているというのが実情です。

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